初めての飼育でも上手にブリードできる?
■ ブリード(繁殖)に向けた成虫の入手と管理
■ 産卵セットの組み方
ヨーロッパミヤマクワガタは常に人気が高く、一度は飼育・ブリードに挑戦してみたくなる魅力的な種です。
僕も初めてヨーロッパミヤマの92mmのオスを手に入れた時は本当に感動しました。
ポイントをおさえて飼育に挑戦すれば初心者の方にも決して難しい種ではないので安心してください。
これからヨーロッパミヤマクワガタの飼育にチャレンジしたい方や、飼育で不安な事がある方は是非最後まで読んでみてください。
ペアリングから産卵セットの組み方まで、ポイントとなる部分をご紹介させて頂きます!
Contents
ヨーロッパミヤマクワガタについて
まずは本種について基本的な事をおさらいしてみます。
本種は3種類に大別する事ができ、それぞれの亜種名で呼ばれることが多いです。
②アクベシアヌス
③ユダイクス
一番大型化するのがユダイクスミヤマで、人気も高く流通も多い印象です。
本種は日本のミヤマクワガタと形状は似ていますが、毛がふさふさしている事はなく大きさも100mmを超えることがある点が異なります。
ヨーロッパ全土に生息してるようですが日本に流通している個体の主な産地はトルコ、シリアなどになります。たまに珍しい産地の個体が流通したりもしていますね。
ヨーロッパではクワガタの代表的な存在と考えられている本種は、切手のデザインに採用されたりもしているようです。
本種の魅力はやはりその大きさからくる迫力ではないでしょうか。
国産ミヤマでは味わえない圧倒的なデカさがありますね。
ヨーロッパミヤマの基本的な管理
本種は基本的には低温種とされていますので、管理温度は低めが望ましいです。
ただ私もそうなのですが飼育部屋の温度は例えば20度などにしてしまうと他の種を管理する事が難しくなったりします。
後述しますが、本種はそこまで低温にしなくても成虫管理・産卵が可能です。
具体的には23度くらいで全然大丈夫です。
23度であれば他種、例えばヘラクレスの幼虫飼育などでも問題ない温度です。
「低温種だから・・・」とあきらめる事はありませんので是非飼育に挑戦して頂きたいです。
本種の基本的な管理としては温度にだけ気を付けていれば特に難しい事はありません。
ポイントになるのが休眠のさせ方になり、この時は23度では管理できるとは限らないです。
ブリードに向けた成虫の入手と管理
ペアリングの準備
本種の個体を手に入れた状況にもよりますが、本種のブリードで1番のポイントは羽化してから寝かす必要がある事です。
自然界においても本種は夏に羽化したあと、活動を始めるのは翌年の夏になると言われており、非常に長く休眠しています。
この休眠期間の管理と起きるタイミングを雌雄でそろえる事が大切になります。
個体の入手
先に書きましたが、本種は雌雄で成熟しているタイミングをそろえる事が最大のポイントになります。
ですので「どのような状態の個体」を入手するかがとても大切になります。
下記にいくつかパターンを書いてみます。
①雌雄ペアで入手、かつ雌雄の羽化日が近い
これが一番望ましいパターンです。雌雄で羽化日が近く、ペアでの入手のため同じ環境(ブリーダーのもと)で管理されていた点が良いですね。
このパターンでさらに「即ブリ」のペアであればすぐにペアリングに入れます。
羽化したばかりのペアと言う事であれば、ここから休眠管理が必要となります。
fa-arrow-circle-right即ブリ:すぐに交尾・産卵できる状態のこと
②雌雄ペアで入手、しかし雌雄の羽化日が離れている
いわゆる羽化ずれのペアになります。
このようなペアを販売している事はあまりないですが、万が一掴んでしまった場合は注意が必要ですね。
どのくらい羽化日が離れているかにもよりますが、後食タイミングがずれる可能性があります。
本種は後食してからの寿命が短いですので、動き出したらスピード感を上げてブリードする必要があります。
なるべく羽化ずれのペアを入手するのは避けましょう。
③個別に入手、しかし雌雄の羽化日が近い
このパターンは①と同じで問題ないです。個別に入手する必要があるため、タイミングの合う個体をそれぞれ入手するのが面倒という感じですね。
友人から♂をもらった、という状況で♀を某オークションで探す。といったパターンになります。
④個別に入手、かつ雌雄の羽化日が離れている
個別に入手するパターンであえて羽化ずれ個体を選んでしまったパターンです。
これは避けましょう。種は羽化日を特に意識して、またどのような管理温度で管理されていたのかにも注目しておいた方が◎です。適正な温度で休眠をさせてくれているブリーダーさん、もしくはショップから入手する事をお勧めします。
という事でおススメは羽化日の近いペア個体を入手することです。
話をペアリング準備に戻していきます。
休眠時の管理
本種は羽化してからおおよそ1年近く休眠する種となりますので、その間の休眠時の管理が必要となります。
休眠時の管理ポイントは主に2つです。
①温度
まず最初に温度ですが、20度以下で管理する事が望ましいです。
私の環境では小型のワインセラーを使って大体18度くらいで管理していました。
②湿度
湿度については乾燥させないように、湿らせたミズゴケをケース内に入れて管理します。
餌などは必要ありません。
この状態で数か月~1年ほど経過すると生体がケース内を動き始めた様子が観察できます。
例えばミズゴケがぐずぐずになっていたり、という感じですね。
生体が起床したら餌を与えて後食を開始させていきます。
後食
休眠期間が終わり、無事に生体が動き出したら生体にエサを与えていきます。
この時ワインセラーなどからは生体を取りだし、温度は23度くらいのところ移動して大丈夫です。
雌雄の片方が先に動き出してしまったという場合は、そのままワインセラーに入れておきどちらも動き出したら外に出してあげた方がいいと思います。
後食タイミングを揃えるための工夫ですね。
後食を開始しましたら2週間ほど経過すればペアリングに移行できるイメージです。
後食は期間というよりも餌の喰いで判断していきます。
私の場合は、もう大丈夫かな?というくらい食べ始めてからさらに1週間ほど待っています。
後食を開始して無事に成熟すれば次はペアリングです。
ペアリング
本種のペアリングはハンド、同居どちらもOKという事が言われています。
私の環境ではハンドで上手く反応した事がないので基本は同居にしています。
同居ペアリングする時は絶対に顎縛りをしましょう。
♀が殺されてしまう可能性があります。
♂の顎を縛ってから4~5日同居させましょう。
恐らくすぐにメイトガードが確認できると思います。
本種のペアリングで特に気を付ける点は顎縛りくらいです。
管理温度は23度前後で大丈夫です。
産卵セット
ペアリングが終わったら産卵セットです。
本種含め、ミヤマ種の産卵セットの方針は基本的に全て同じです。
セオリーになる構成は下記です。
基本的にはこのイメージで産卵セットを作っていきます。
マットの選択肢は多岐にわたりますが、下記に紹介するマットは僕も良く使用しており実績がありますのでお奨めです!
①KBファーム フェロールマット
まず最初にKBのフェロールマットです。非常に微粒子で様々な種のクワガタ産卵に使えます。私の環境ではフェロールだけで組む事はあまりなく、他のマットと混ぜて使っています。
買ってすぐは臭いがキツイですのでガス抜きをする必要があります。
②RTN Nマット
続いて大人気のNマットですね。産まない時の切り札 と言われているNマットは万能の産卵マットでカブト・クワガタ問わずあらゆる種の産卵セットに使える優れものです。
ただし価格が少々高いです。
③マスターズ Lucanusマット
ダイナステスマスターズさんのLucanusマットです。名前からも分かる通り、ミヤマ産卵用に調整されたマットになります。
このマットはしっかり発酵熟成されているタイプの黒系マットです。粒子もNマットほどではないですが細かいです。
私の環境では本マット+NマットやフェロールのMIXマットに黒土を入れて使っています。
マットは微粒子系の発酵マットである事、それ+黒土で構成すればミヤマのセットが完成となります。
水分量はやや多めで組むと良いです。
黒土はホムセンで売っている大量に入って500円とかのやつで平気です。
材を入れている方もいるようですが、マットだけでも十分産んでくれます。
産卵セットの詳細については下記の記事で纏めていますので、宜しければ読んでみてください!
まとめ
あとはひたすら放置して産卵してくれることを願うだけですね。
ペアリングが上手くいっていれば産んでくれているはずです!
割出は幼虫の姿が見えてからの方が見逃しも少なくおススメです!
今回の内容は以上となります!
本記事の内容に限らず、何か疑問点や不明点のある方は遠慮なくお問いわせください!
最後までお読み頂きありがとうございました!