日本でも飼育できる?繁殖の方法は?幼虫飼育の注意点などはある?
一度は憧れる昆虫がヘラクレス!是非飼育に挑戦してみましょう!
fa-check-square-oヘラクレスオオカブトの飼育は難しい?
ご存知の通り、ヘラクレスオオカブト(以下:ヘラクレス)は日本在来種ではなく南米やカリブ海グアドループなどに分布しています。
そのため日本の気候に適応することは難しい部分があります。
ヘラクレスの飼育は「温度管理」さえどうにかクリアできれば飼育の難易度は低いです。
特に成虫だけを鑑賞用途として飼育する場合には難易度はさらに低くなりますので、誰でも飼育にチャレンジできる種です。
細かくは本記事の中で解説していきます。
fa-check-square-o一度は飼育してみたいヘラクレス!
僕には幼稚園性の娘がいるのですが、娘のクラスメートの男の子たちに我が家のヘラクレスを見せてあげると、みんな目をキラキラさせて喜んでくれます。
僕自身もそうですが、昆虫好きな人間にとってヘラクレスは「一度は飼育してみたい憧れの種」ではないでしょうか。
飼育のハードルが高いと思われがちなヘラクレスですが、温度管理さえできてしまえば本当に誰でも飼育できるフレンドリーな面を持っています。
是非、興味を持っていただいたこの機会に飼育に挑戦してみてください!
本記事ではヘラクレスの基本情報から飼育ポイント、繁殖方法、幼虫飼育における注意点など網羅的に解説していきます。
これから飼育に挑戦しようと思っている方や既に飼育している方も是非最後まで読んでみてください!
・ヘラクレスの入手方法
・ヘラクレス飼育の準備
・ヘラクレスの成虫飼育
・ヘラクレスの幼虫飼育
・ヘラクレス飼育の魅力
・まとめ
ヘラクレスオオカブトについて
ヘラクレスオオカブトの基本情報
学名:Dynastes hercules
産地:南米やグアドループなどに分布
説明:言わずと知れた世界最大のカブトムシ。最大体長は180mmを超え、その迫力は凄まじいものがあります。クワカブ飼育に興味が無い人でも、ヘラクレスの存在は知っている人が多いでしょう。そのくらいに有名で、クワカブ界のキングと言える種です。
ヘラクレスは13種類の亜種が知られており、それぞれに特徴があります。
南米を中心に分布する大型のカブトムシで、日本でも非常に有名なカブトムシですね。
温暖な気候に生息しているため、日本の厳しい冬や異常に暑い夏には耐性がなく、常温飼育では繁殖や長生きを狙った飼育は難しい種ですね。
ヘラクレスオオカブトは13種類いる
ヘラクレスには13種類の亜種が確認されています。
一時期、これらの亜種はシノニム(同一と見なされる分類群)であるという見解が公表されましたが、現在はそれぞれの種は亜種であるという見方が濃厚になっているようです。
ここでは、13種の亜種について名前と簡単な特徴を紹介していこうと思います。
- ヘラクレス・ヘラクレス
- ヘラクレス・バウドリィ
- ヘラクレス・レイディ
- ヘラクレス・トリニダーデンシス
- ヘラクレス・ブリュゼ二
- ヘラクレス・パスコアリ
- ヘラクレス・エクアトリアヌス
- ヘラクレス・リッキー
- ヘラクレス・タカクワイ
- ヘラクレス・モリシマイ
- ヘラクレス・オキシデンタリス
- ヘラクレス・セプテントリオナリス
- ヘラクレス・トゥクストラエンシス
⇨本記事で飼育方法を取り上げるのがこのヘラクレス・ヘラクレスです。角が太く最大体長も180mmを超える種で、キングオブヘラクレスだと思います。分布はグアドループ諸島やドミニカで、国内流通ではほとんどがグアドループ産のようです。僕もドミニカ産は見たことがありません。
現地ではそれほど珍種ではないようですが、島外への持ち出しが禁止されたことから現在では野外採集個体が輸入される事はありません。国内で流通してる個体はCB(繁殖個体)になります。
⇨マルティニーク島に分布する小型のヘラクレスです。後述するヘラクレス・レイディもこちらに含まれるという見方もあり、見た目もそっくり。僕には見分けがつきません。
⇨セントルシア島に分布する小型のヘラクレス。日本国内でも繁殖された個体が割と普通に流通しています。
⇨トリニダード島に分布する亜種で、角はヘラクレス・ヘラクレスに比べて細め。体色についも黄色というよりは、暗黄土色という感じで色味にも特徴があります。国内での流通は少なめ。2003年から2006年くらいまでの間に輸入されていたようですが、現在は熱心に増やしているブリーダーさん少ないのかもしれないですね。
⇨前述のトリニダーデンシスに似た種で、ベネズエラに分布しています。国内流通は少ないですが、ヤフオクでもちょこちょこ見かけます。トニダーデンシスもそうですが、華奢で綺麗な雰囲気のヘラクレスといった印象。
⇨ブラジル東南部に生息するレアなヘラクレスですね。上翅にやや光沢があり、オリーブがかった黄色をしています。たまに繁殖個体が流通しているのを見かけます。
⇨コロンビア、エクアドル、ペルーなどに分布している種で、ヘラクレス・リッキーと隣接した地域に分布しています。リッキーとは標高の違いで棲み分けています。リッキーとは下側の角(頭角)の形状が大きく異なります。
⇨前述したエクアトリアヌスと同地区に分布しており、ヘラクレス・ヘラクレスには及ばないものの体長が大きくなる種です。ヘラクレス・ヘラクレスと比べると角が細い形状をしています。
⇨ペルー南東部、ブラジル西部などに分布する種です。下側の角(頭角)がツルッとしており直線的な形状をしています。
⇨ボリビアに分布する中型の種です(110mm前後の個体が多い)。形状や体色は前述したヘラクレス・エクアトリアヌスに似ています。
⇨エクアドルやコロンビアに分布する種で、頭の部分(前胸といいます)まで黄色味かかる個体が出現する面白い種です。ちょこちょこ流通しているのも見かけます。
⇨メキシコ南部に分布する種で、前述したヘラクレス・オキシデンタリスに良く似ています。下側の角(頭角)の先端形状にオキシデンタリスとの違いがあり、そこで見分けます。
⇨メキシコ南部に分布する種ですが、前述したヘラクレス・セプテントリオナリスと同種なのではないかという見方もあるようです。過去に市場に出た事があったようですが、本物かどうかの真偽は怪しいようです。
ヘラクレス13種類をざっくり紹介させて頂きました!
いかがでしょうか、ヘラクレスってこんなに種類がいるんですよね・・・。
僕も初めて知った時はびっくりした記憶があります。
ヘラクレス・ヘラクレスに注目する
ヘラクレスにはたくさんの種類がいる事をお伝えしました。
たくさんいるヘラクレスの中でも最も人気があり、多くのブリーダーが飼育しているのが「ヘラクレス・ヘラクレス」です。
僕の飼育部屋でもこのヘラクレス・ヘラクレス(通称ヘラヘラ)はメインで飼育をしており、繁殖を進めています。
このヘラヘラは体長もそうですが、太さがある種で、簡単に言うとめちゃめちゃカッコいいんですね。
そのため、ヘラヘラの愛好家は多く、みなさんそれぞれが目指す最高のヘラヘラを羽化させようと日々努力されています。
本記事ではそんなヘラヘラにフォーカスして飼育方法を解説していこうと思います!
ヘラクレスの入手方法
ヘラクレスの飼育を開始するには、まずは生体を入手しましょう。
入手方法は大きく3つですね。
- ショップで購入する
- イベントで購入する
- ヤフオクで購入する
⇨ペットショップにもヘラクレスが売っている事はありますが、数は少ないです。やはりショップで買うなら専門ショップで買うのがおすすめです。個体の数も多いので選択肢が広いですし、生体の管理もしっかりしているケースが多いです。
ただ、当然ですがショップ販売の個体は価格が高めに設定されています。
⇨定期的に開催されている昆虫即売イベントで購入する方法もあります。イベントで購入する場合にはイベントでの割引価格で買える事が多く、おすすめの方法のひとつです。
また、販売者(飼育者)から直接話を聞く事もできますので、その点もイベントの魅力ですね。
⇨近くにショップもイベント開催もないという場合、あるいは安く生体を購入したい場合や特定のブリーダーから購入したい時にはヤフオクを利用するのが一番です。
ヤフオクは安価で生体を買えますので、個人的にはどんどん利用していくと市場も盛り上がって良いなと思っています。
一方でヤフオクにはリスクやデメリットもあります。
そのあたりのことも含めてヤフオク利用での生体売買については以下の記事でまとめていますので、興味のある方は読んでみてください。
いずれかの方法にて、まずは憧れのヘラクレスを手に入れてみてください!!
ヘラクレス飼育の準備
ヘラクレスの飼育を開始するために各種飼育アイテムを揃えて、お迎えの準備をしていきましょう。
最低限必要なものは以下となります。
- 飼育ケース
- 床材
- エサ
⇨まずは飼育ケースが絶対必要です。ヘラクレスは大型の昆虫ですので、ケースも大きめがいいですね。
おすすめはコバエをシャットアウトできる、コバエシャッターというケースです。
⇨続いて床材となる成虫管理用マットです。これは幼虫飼育に使うものとは違い、成虫管理専用の針葉樹(スギやヒノキなど)ベースのマットを用意してあげましょう。
カブトムシ飼育におすすめのマットは以下の記事でまとめていますので、気になる方はチェックしてみてください。
⇨成虫にはエサとして昆虫ゼリーを与えます。この昆虫ゼリーはKBファームのプロゼリーが超おすすめです。
何を買えばいいかわからない人は、とにかくプロゼリーを買えば間違いありません。
カブトムシ飼育に必要となる飼育アイテムについては以下の記事でもまとめていますので、興味のある方はチェックしてみてください。
ヘラクレスの成虫飼育
飼育に必要なアイテムは揃いましたでしょうか。では、ここからは具体的な飼育方法について解説していきます。
まずは成虫編。繁殖についても解説していきます。
日々の基本的なメンテナンス
日々のメンテナンスは特別難しいことはありません。以下に注意して管理してあげましょう。
- 単独飼育が基本
- 温度管理と置き場所
- エサ交換
- 床材交換
⇨ヘラクレスは単独での飼育・管理を基本としましょう。多頭飼育をすると、寿命を縮めてしまう可能性があります。
⇨ヘラクレスの管理温度は25度前後が理想的です。そのため、日本の気候で常温管理は難しいのです。夏は冷やして冬は暖める必要があります。
一番簡単なのはエアコンで温度を一定管理してしまうことです。
ですが、それが叶わない場合には発泡箱を利用した簡易温室を作ることで対応することもできます。
※大きめの発泡箱に保冷剤やカイロなどを入れて一時的にしのぎます。
成虫を鑑賞用として管理するだけであれば簡易温室でも十分対応できますよ!
上手に管理すればヘラクレスは成虫で1年くらい生きます。
置き場所についても、直射日光を避けてなるべく温度変化の少ないところに置いてあげましょう。
⇨日々のメンテナンスのメインになるのがこれでしょう。エサのゼリーがなくなったらゼリー交換をしてあげましょう。
⇨ゼリーを食べ散らかしたり、成虫の尿によって管理マットが汚れてきます。汚れが目立ってきたら新しいマットに交換してあげましょう。清潔に保つことによって長生きにも繋がりますし、見た目も綺麗に保てます。
温度管理についても鑑賞用の成虫管理であれば必ずしもエアコンが必要というわけではありません!
ヘラクレスの繁殖に挑戦
ここからはヘラクレスの繁殖そして、幼虫飼育の方法について解説していきます。
ヘラクレスの繁殖を狙う場合には、幼虫期間が♂で1年半以上、♀で1年ほどと長いため温度管理が必須となります。
環境が整っている人は是非ヘラクレスの繁殖に挑戦してみてください!
ヘラクレスのペアリング(交尾)
まずは、成虫のペアリングをしていきます。
ヘラクレスを含めて多くのカブト種は、♀の上に♂を乗せてあげると自然に交尾をしてくれます。
ポイントとしては成虫がしっかり成熟していてることです。
その見極めとして「後食」の確認をしましょう。
僕は後食から2週間以上経過したらペアリングをするようにしています。
fa-check-square-o後食とはなに?
後食:羽化した成虫がエサを食べ始める事
ペアリング:交尾のこと
羽化した成虫はいきなり交尾(ペアリング)・産卵ができる訳ではなく、活動を開始して少し期間を置く必要があります。
成熟した証拠としてエサの食べ始め(後食)を観察してから♂と♀の交尾(ペアリング)を促す飼育に進みます。
※例:後食してから3週間ほどでペアリング可能と言った感じで「後食」というワードを使います。
どうすればいいでしょうか。
対処方法ですが、「何日か置いてリトライ」基本的にこれしかありません。
他に見直しポイントとしては、交尾する時に脚をちゃんと引っ掛けることのできる場所に置いてるかはチェックしましょう。
僕は金網の上で交尾させてます。
どの飼育記事を見ても、♂を乗っければOKと書いてあるのですが、思ったようにいかない事が多々あります。
「いや、全然交尾しないじゃないか・・・・」
僕もこんな経験を多々しました。
結論としては焦らずにリトライするしかありません。リトライしてるうちに、うまくいくのを待ちます。
⇨ひたすら焦らずにリトライ。これに尽きます。
ヘラクレスの産卵セット
無事にペアリングが成功したら、♀を1週間ほど単独飼育してエサをたくさん与えます。
十分にエサを与えたら、産卵セット(♀に産卵してもらうための飼育セット)に♀を入れていきます。
ここではヘラクレスの産卵セットの組み方を解説していきます。
ヘラクレスの産卵セットで用意するもの
まずはセットに必要となるものを用意しましょう。ここでは僕が実際にヘラクレスのセットで使っているアイテムを紹介します。
- ケース
- 産卵用マット
- ゼリー
⇨ケースはコバエシャッターの大サイズでOKです。
⇨ただ成虫を管理してるだけの飼育セットとの一番の違いはこのマットの選択です。ヘラクレスが産卵してくれるマットを選ぶ必要があります。
僕はダイナステスマスターズさんの産卵マットを良く使っています。コバエシャッターの大で組む場合には、マットの量は10Lから15Lくらい用意すればOKです。
産卵セットにもゼリーは入れてあげます。ゼリーはKBファームのプロゼリーを選択。
カブト系の産卵セットには産卵用の朽木(朽ちた広葉樹の木)を入れる必要がありませんので、セットとしては非常にシンプルな構成になります。
マットには特にこだわりを持って選択すると良いですね。
ヘラクレスの産卵セットの組み方
アイテムを一通り用意したら、実際にセットを組んでいきましょう。
ポイントを以下にまとめます。
⇨袋を少し開けて、臭いが消えるまで放置すればOKです。
・マットの加水は「握ってお団子」になる程度に
⇨加水し過ぎはNG、ギュッと握ってお団子が作れる程度の加水を
・マットはケースの7割程度を固く詰め、上1割はふんわりと
⇨あまりにも固く詰めるのもNGです。全体重を乗せて詰めるのはやめましょう。
・管理温度は25度程度を目安に
⇨25度じゃないと産まないという事はありませんが、大体の目安として25度程度キープすると良いです。
以下の図のように詰めてセットしてあげましょう。
足場については水苔でもいいですが、ヘラクレスは大きいですので大きめのバークチップを利用するのも良いと思います。
僕はバークチップを足場に使ってセットする事が多いです。
セットを組んだら、♀を投入して1ヶ月〜2ヶ月くらい放置しましょう。
この期間もエサ切れしてないかのチェックは1週間に1回程度行う感じで管理します。
時間が経過したらセットをひっくり返して卵を回収します。
セットに問題があるのでしょうか。
ここが問題ない場合は、運が悪く「ハズレの♀」を引いてしまった可能性が高いです。
ヘラクレスの産卵は簡単という記事を多々見かけますが、全くそんな事はありません。
僕も過去に5匹くらい♀を用意したのにほとんど卵が取れなかった経験があります。
ヘラクレスは産む♀と産まない♀の差が非常に激しいです。何をしても産まない♀は産まないので、新たな♀をお迎えする事も検討してみてください。
ヘラクレスの繁殖は想像以上にうまくいかないケースが多いです。
基本的なセオリーに従っているけれど、うまくいかない。そんな事も多々ありますので大きな心で取り組みましょう。
ヘラクレスの繁殖は簡単と言われていますが、そんな事ありません。
何をやってもうまくいかないケースが多々あります。
ヘラクレスの卵の管理
無事に卵を回収できたら、プリンカップやプラボトルなどの容器に産卵セットで使ったマットと一緒に卵を入れて1〜2ヶ月放置しておきましょう。
卵の管理については特筆する事はなく、放置しておけばOKです。
有精卵であれば自然と幼虫が誕生します。
この時も温度は25度前後で管理してあげましょう。
1つ容器に卵を複数入れてもOKです。あまりにも過密になる場合は容器の数を増やしましょう。
ヘラクレスの幼虫飼育
幼虫が誕生したら幼虫飼育のスタートです。ここではヘラクレスの幼虫飼育についてポイントを解説していきます。
ヘラクレス幼虫管理の基本
基本的な飼育方法のポイントをまとめます。
- 最重要なのはマットの選択
- 飼育ケースの大きさ
- 3〜4ヶ月に1回程度のエサ交換
- 温度は25度前後
⇨幼虫のエサはマットです。このマットの選択が最重要事項と言えます。僕はヘラクレス幼虫の飼育にはダイナステスマスターズさんのBeetleマットを使っており、非常におすすめのマットです。このマットであれば加水しないでOKです。
ヘラクレスの幼虫をどの大きさのケースで管理するか、これは飼育スペースの広さによっても選択が変わってきます。ご自身の飼育スペースや狙ってる飼育方針を鑑みて選択していきましょう。
ヘラクレス幼虫の飼育ケースについては以下の記事でまとめていますので参考にしてみてください。
エサ交換は3〜4ヶ月に1回程度行います。それ以外にもコバエなどの雑虫が出た場合やマットの劣化が見られた場合にも交換します。基本は3〜4ヶ月に1回で大丈夫です。
温度は25度程度を目安に管理していきましょう。日本の気候での常温管理は不可と考えてOKです。
ヘラクレスの幼虫管理は、特別な注意点はありません。
エサを定期的に交換してあげて、温度管理しておけば基本は大丈夫です。
ヘラクレス幼虫を人工蛹室に移す
幼虫がどんどんと大きくなってきたら、いよいよサナギになり羽化へと向かいます。
ヘラクレス幼虫飼育の最大の注意点は、サナギになる過程にあります。
そしてそのまま羽化して成虫になれば、角が曲がったヘラクレスになってしまいます。
運が悪いと死んでしまう事もありますので大変重要な問題なのです。
そこで、サナギになる直前に人工で作った蛹室に移してあげます。
十分に大きなケースを使い、十分に大きな蛹室を作れた場合には人工蛹室への移動は不要です。
ですが、多くの場合にはそこまで大きなケースでの飼育は難しいというのが現実だと思いますので人工蛹室に移す機会が多くなるはずです。
あとは♀については人工蛹室への移動は基本不要です。角ないですからね。
ヘラクレスの人工蛹室を作る
人工蛹室は自分で作れます。用意するのは園芸用品のオアシスという給水スポンジのような製品です。
これをスプーンや手で削って、人工蛹室を作ってあげます。
形ができたら加水してあげれば完成です。
人工蛹室へ移すタイミング
人工蛹室に移すタイミングは非常に重要で、間違えると死んでしまいます。
ここは経験がある程度必要になりますのでトライエラーにはなります。以下に見極め基準を紹介します。
⇨マットの色が黒っぽくなり、粘土のような感じで固めてる部分ができてくる。
これは見ればわかります。明らかに空間を作ってる様子がケース外から確認できます。
・サナギになる直前であること
⇨こっちが難しいです。蛹室を作って間もない状態で人工蛹室に移動すると、幼虫が暴れてしまい、最悪の場合は死んでしまいます。蛹室を作ってからしばらく時間が経過しており、もう少しでサナギになるという状態で移動します。
幼虫の色味が「黄色味」が増してきたら、移動してOKです。
このあたりは経験で理解していくしかありません。よく観察して経験値を積んでいきましょう。
人工蛹室に移すタイミングは非常に難しいです。
サナギになる直前の前蛹(ぜんよう)という状態を見極めるには飼育してみる事が一番の近道です。
ヘラクレスが羽化したら
無事にヘラクレスが羽化したら、そっとしておきます。
間違ってもすぐにベタベタさわったりケースを移したりしないようにしましょう。
本人が動き出すまで放置、これが基本です。
温度管理と、乾燥しすぎたら湿らせたティッシュや水苔を適宜入れてあげるだけで大丈夫です。
とにかく触らない。非常にデリケートな状態ですので、体が固まるまで放置しましょう。
ヘラクレス飼育の魅力
最後にヘラクレス飼育の魅力について個人的な所感を書いてみようと思います。
世界最大を羽化させる喜び
ヘラクレスって、とにかく迫力があるんですよね。そして絶対に日本原産では見られないフォルム、「なんでその形になったの?」っていうフォルム。
これが手元で羽化して成虫になる喜びは計り知れません。
初めて幼虫から羽化まで体験した時は感動しました。
大きさは正義(笑)
やはり大きさは正義です(笑)。でっかいやつはカッコいいです。
これからも迫力のあるヘラクレスを羽化させられるように頑張ろうと思います。
ヘラクレスの血統
ヘラクレス界隈(どんな界隈?)では、まるで競走馬のごとく「血統」という言葉が使われます。
大きな個体を羽化させるには、「血統」が重要ということですね。
大きな個体からは大きな個体が生まれます。これは遺伝学的にもけっこう当たり前のことで、理にかなっています。
この「血統」という要素も意識し始めると、ヘラクレスの繁殖はさらに深みを増した趣味になっていきます。
まとめ
今回は世界最大のカブトムシ、ヘラクレスオオカブトについて解説させて頂きました。
みなさんも、皆さんのお子さんも、大好きですよね、ヘラクレス。
是非、飼育に挑戦して見て欲しいと思います。
本記事の内容に限らず疑問や不明点のある方は問い合わせより遠慮なくご連絡ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。