飼育のポイントを教えてください!
温度管理ができる環境であればミヤマ種の中では飼育が容易な部類ですので、是非挑戦してみて欲しいです。
ヴェムケンミヤマは比較的最近登録された種で、日本に流通し始めた時はかなり高額で取引されていた印象です。
2022年執筆時点では飼育繁殖個体の流通が増えており、価格も手ごろなところで落ち着いていますので飼育に挑戦してみようと思う方も増えてきているのではないでしょうか。
僕自身は2年くらい前から飼育に着手しており、今年(2022年)は本種を20頭程度羽化させております。
産卵から羽化まで一通り通過しましたので、今回はまとめとして飼育方法を紹介させていただきます!
飼育方法については本記事を読めばOK,温度管理さえできれば誰でも上手に飼育できます!
・ヴェムケンミヤマの基本的な飼育方法
・ヴェムケンミヤマの繁殖に挑戦
Contents
ヴェムケンミヤマってどんなクワガタ?
ヴェムケンミヤマは2006年に新種として登録されたミヤマクワガタで、比較的新しい種類と言えます。
まずは本種の魅力について紹介していこうと思います。
ヴェムケンミヤマの基本情報
学名:Lucanus wemckenii
産地:インド北東部(アルナーチャル・プラデーシュ州)、中国(チベット南東部)に分布
説明:体長は♂31.9-57.5mmm,♀27.6-32.0mmと中型サイズのミヤマです。「ウェムケンミヤマ」という和名呼称でしたが、書籍BE-KUWA75号のミヤマクワガタ特集にて「ヴェムケンミヤマ」という発音の方が近い発音ということで訂正が入りました。
本種は大型ミヤマではありませんが独特の大顎形状が魅力的な種で、大顎の根元の内歯(内側に突き出してる部分)が大きく発達しています。
クワガタ界隈では有名なアルナーチャル・プラデーシュ州に分布するクワガタですね。
アルナーチャルに生息するクワガタはなんとも洗練された見た目の種が多い印象で、とても魅力的です。
このヴェムケンミヤマも例に漏れず、非常に格好良く、眺めているだけでも楽しいクワガタです。
大顎もそうですが、独特の光沢感を持つ体色をしています。
個人的にはこの光沢のある体色がめちゃめちゃ好きです!
最近(2022春)は価格もこなれてきましたので、気になっていた方は飼育をスタートする良い機会かもしれません!
ヴェムケンミヤマの基本的な飼育方法
本種の基本的な管理についてはミヤマクワガタに準拠します。ポイントは低温での管理、これだけです。
ヴェムケンミヤマの基本的な飼育ポイント
マット:成虫管理用マット
エサ:昆虫ゼリー
温度:20度前後
とにかく暑いのがダメですので、対策無しで日本のジメジメとした猛暑を乗り切ることは不可能です。
基本的には24時間のエアコン管理を推奨しますが、入手するタイミングを合わせつつ冷温庫を併用することでも飼育できると思います。
僕の環境では23,4度で管理していますが特に問題なく飼育できています。
日本の8月〜9月はとにかく暑いので、その時期だけエアコンを使いつつ温度が下がってくれば常温管理でもOKですね。
12,3度くらいで管理しても死んでしまったりすることはなかったので、そのくらいまでの低温であれば耐えられる種のようです。
ヴェムケンミヤマの繁殖に挑戦
続いてはヴェムケンミヤマのブリード(繁殖)について、僕の環境で成功している方法を解説していきます。
こちらも基本の管理と同様に「温度管理」さえできれば難しい点はなく、普通のミヤマセットでたくさん産んでくれます。
休眠や幼虫飼育についても飼育経験から感じたポイントを紹介していきますので、参考にしてみてください。
成虫の入手
ブリードに挑戦するには成虫の入手が必要です。パターンとしては以下になります。
野外品を入手
ヴェムケンミヤマの野外品が入ってきたときに入手するパターンですね。♀を単品で入手しても既に交尾済みで産卵セットに入れるだけで産んでくれる可能性があります。
基本的には♂♀ペアで入手した方が交尾していなかった場合の対応もできるので安心ですね。
野外品の最大のポイントは即ブリ(すぐにブリードできる個体)であるということですね。 成熟を見極める、休眠させるというプロセスを考える必要がありません。飼育品を入手(幼虫も含む)
飼育品の場合は羽化のタイミングが概ね揃っているペアを入手しましょう。
※オークションなどで入手する場合には羽化タイミングが揃っているかは特に注意しましょう。
羽化して間もないペアを入手した場合には15度程度で休眠させ、後食開始まで見守ります。
大体10ヶ月くらいは休眠すると思いますので、時折様子を見てあげて動きがあるようであれば徐々に温度を上げてエサを与えていきます。
幼虫で入手した場合も羽化した後の過程は全く同じです。
ヴェムケンミヤマのペアリング
成虫を入手して休眠が終わり、後食を開始したら2週間ほど待ってペアリング・産卵セットへ進めていきます。
fa-arrow-circle-right後食開始からペアリングまでの判断は、ゼリーをしっかり食べていることを基準に判断していきましょう。
僕はヴェムケンミヤマのペアリングを含めて、ミヤマ系のペアリングは同居ペアリングにしています。
ハンドペアリングでもスムーズにいけばいいのですが、ずっと見守ってるのも疲れるので同居させています。
大顎は縛れるようであれば、縛ってセットした方が無難です。
成熟したペアを同居させて1週間もすればペアリングは完了していると判断して大丈夫です。
ヴェムケンミヤマの産卵セット
基本的なミヤマセットで問題なく産卵してくれます。
僕は以下のようなセットで組んで40以上は卵・幼虫が取れました。
ヴェムケンミヤマ産卵セット
- 産卵材は基本的に不要
- マットは微粒子かつ熟成された無添加発酵マット
- 黒土を少し追加する
- マットの水分は握ってお団子程度に
- 温度は23度程度でも産む
- 中ケース以上のケースで組む
「発酵熟成の進んだ無添加マット+黒土」がミヤマ産卵セットの基本になります。
ヴェムケンミヤマはこのセットで問題なく産卵しくてれますので、ミヤマ系のブリード経験がある方であれば難易度は低いです。
以下、実際に僕が使用したマットを紹介します。
Nマットとフェロールマットを混ぜて、そこに黒土を追加したセットがオススメです。
割合はNマットをベースにフェロールを2〜3割、黒土を1〜2割くらいのイメージです!
詰め方としては7〜8割を固く詰めて、上の方は少しふんわりとマットを入れます。
転倒防止の水苔などを敷いてあげれば完成です。
こんな感じですね。
マットに産卵するタイプのクワガタでは一般的な詰め方です。
温度についても20度やそれ以下まで下げる必要はなく、23度か24度程度でも問題なく産卵します。
少しルーズな管理でも産卵してくれますので、フレンドリーな種ですね(笑)。
幼虫の姿がケース壁面に見えてきたら割り出しをしていきましょう!
セットに使ったマットで管理してあげれば孵化してきますし幼虫が落ちてしまうこともありませんでした。
ヴェムケンミヤマの幼虫飼育
産卵がうまくいったら幼虫飼育をしていきましょう。
ヴェムケンミヤマはしっかり添加物が入ったマットでも問題なく育ちますので、そこまで神経質になる必要はありません。
初令〜2令幼虫は産卵セットで使ったマットで管理し、3令になったらしっかり添加されたマットを加えていきます。
800ccボトルで管理して50mmは普通に超えてきますので、大きなボトルでの飼育は必須ではないですね。
ギネスクラスの大きさを狙う場合には無論いろいろな工夫が必要だと思います。
蛹で落ちる?
僕の環境では蛹で落ちる個体がけっこうな数になりました。
原因は色々とあるとは思いますが、共通して蛹室をボトルの底に作ってしまっていました。
セオリーではありますがボトルの底に蛹室を作ってしまった場合にはなるべく取り出して人工蛹室に入れてあげるのが吉と言えそうです。
まとめ
今回はヴェムケンミヤマの飼育方法について紹介してきました。
本記事で紹介させて頂いた方法で産卵から羽化まで、僕の環境では問題なく飼育できていますので是非参考にしてみてください!
大型ではないですが、ちょっと風変わりなミヤマクワガタに興味のある方はぜひ!
今回の内容は以上となります!
最後までお読み頂きありがとうございました!